障害者雇用実態調査とは?障害者雇用の実態と今後のための調査
- 厚生労働省が調査を実施。
- 対象は常用労働者5人以上を雇用している民営事業所。
- 障がいがある方の雇用状況に関して質問し実態を把握。
- 目的は障害者雇用施策の検討や立案に役立てること。
- 5年ごとに実施。
障害者雇用実態調査の2023年度(令和5年度)報告
厚生労働省ホームページ「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」の情報をまとめています。
詳しくは、下記をご確認ください。
- 厚生労働省ホームページ「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」
調査結果は障害者雇用が増加
障害者雇用実態調査の2018年度(平成30年)前回調査にくらべ、障害者雇用の雇用者数と平均勤続年数が増加しています。
調査項目 | 2023年 | 2018年 | 増減数 |
---|---|---|---|
雇用者数 | 1,107,000人 | 851,000人 | +256,000人 |
平均勤続年数 | 7年11か月 | 6年1か月 | +1年10か月 |
調査の集計方法
- 6,406事業所が回答。
- 2023/6/1時点の状況。
- 人数は推計値を算出。
身体障害者の雇用状況
- 障害者雇用者数
- 526,000人
- 産業
- 「製造業」が21%、「卸売業、小売業」が21%、「サービス業」が15%の順で多い。
- 職業別
- 「事務的職業」が26%、「生産工程の職業」が15%、「サービスの職業」が14%の順に多い。
- 平均勤続年数
- 12年2か月。
- 企業規模
- 1,000人以上規模が31%と最も多い。
- 性別
- 男性74%、女性26%。
- 年齢階層
- 65才以上が17%と最も多い。
- 障がい種類
- 「肢体不自由」が35%と最も多い。
- 障がい程度
- 重度が44%と最も多い。
- 雇用形態
- 無期契約の正社員が53%と最も多い。
- 週所定労働時間
- 30時間以上(通常)が75%と最も多い。
- 平均賃金(1か月)
- 235,000円。
知的障害者の雇用状況
- 障害者雇用者数
- 275,000人
- 産業
- 「卸売業、小売業」が33%、「製造業」が15%、「サービス業」が13%の順で多い。
- 職業別
- 「サービスの職業」が23%、「運搬・清掃・包装等の職業」が23%、「販売の職業」が17%の順に多い。
- 平均勤続年数
- 9年1か月。
- 企業規模
- 1,000人以上規模が42%と最も多い。
- 性別
- 男性68%、女性32%。
- 年齢階層
- 20~24才が25%と最も多い。
- 障がい程度
- 重度以外が81%と最も多い。
- 雇用形態
- 有期契約の正社員以外が41%、向き契約の正社員以外が39%の順に多い。
- 週所定労働時間
- 30時間以上(通常)が64%と最も多い。
- 平均賃金(1か月)
- 137,000円。
精神障害者の雇用状況
- 障害者雇用者数
- 215,000人
- 産業
- 「卸売業、小売業」が26%、「製造業」が15%、「サービス業」が14%の順で多い。
- 職業別
- 「事務的職業」が29%、「専門的、技術的職業」が16%、「サービスの職業」が14%の順に多い。
- 平均勤続年数
- 5年3か月。
- 企業規模
- 1,000人以上規模が38%と最も多い。
- 性別
- 男性67%、女性33%
- 年齢階層
- 50~54才が16%と最も多い。
- 障がい種類
- 「そううつ病」が17%、「統合失調症」が12%の順に多い。
- 障がい程度
- 3級が43%と最も多い。
- 雇用形態
- 有期契約の正社員以外が41%、無期契約の正社員が30%の順に多い。
- 週所定労働時間
- 30時間以上(通常)が56%と最も多い。
- 平均賃金(1か月)
- 149,000円。
発達障害者の雇用状況
- 障害者雇用者数
- 91,000人
- 産業
- 「卸売業、小売業」が41%、「サービス業」が15%、「製造業」が10%の順で多い。
- 職業別
- 「サービスの職業」が27%、「事務的職業」が23%、「運搬・清掃・包装等の職業」が13%の順に多い。
- 平均勤続年数
- 5年1か月。
- 企業規模
- 1,000人以上規模が41%と最も多い。
- 性別
- 男性74%、女性26%
- 年齢階層
- 20~24才が23%と最も多い。
- 障がい種類
- 「自閉症、アスペルガー症候群その他広汎性発達障害」が69%、「注意欠陥多動性障害」が15%の順に多い。
- 障がい程度
- 3級が41%と最も多い。
- 雇用形態
- 有期契約の正社員以外が37%、無期契約の正社員が35%の順に多い。
- 週所定労働時間
- 30時間以上(通常)が61%と最も多い。
- 平均賃金(1か月)
- 130,000円。
雇用するにあたっての課題
- 会社内に適当な仕事があるか
- 障害者を雇用するイメージやノウハウがない
- 採用時に適性、能力を十分把握できるか
- 職場の安全面の配慮が適切にできるか
- 従業員が障害特性について理解することができるか
雇用している障がいがある方への配慮事項
- 休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮
- 短時間勤務等勤務時間の配慮
- 能力が発揮できる仕事への配置
- 通院・服薬管理等雇用管理上の配慮
- 業務実施方法についてのわかりやすい指示
- 工程の単純化等職務内容の配慮
障害者雇用の募集・採用時における事業所と関係機関の連携状況
- 公共職業安定所(ハローワーク)
- 障害者就業・生活支援センター
- 学校・各種学校
- 地域障害者職業センター
- 就労移行支援など
関係機関に期待する取組み
- 具体的な労働条件、職務内容、環境整備などが相談できる窓口の設置
- 障害者雇用支援設備・施設・機器の設置のための助成・援助
- 障害者雇用に関する広報・啓発
- 雇用管理に役立つマニュアル、研修等の提供
- 関係機関の職員等による定期的な職場訪問など職場適応・職場定着指導
- 障害者に対する能力向上のための訓練の実施
- 職場内での業務支援者の派遣、業務支援者の配置に対する助成
今後の障害者雇用の方針
- わからない
- 雇用したくない
- 一定の行政支援があった場合に雇用したい
- 積極的に雇用したい
障害者雇用を促進するために必要な施策
- 外部の支援機関の助言・援助などの支援
- 雇入れの際の助成制度の充実
- 雇用継続のための助成制度の充実
- 雇用事例や障害特性・雇用管理上の留意点に関する情報提供
- 外部からジョブコーチや介助者など人的資源の充実
障害者を雇用しない理由
- 当該障害者に適した業務がないから
- 施設・設備が対応していないから
- 職場になじむのが難しいと思われるから
- 障害者雇用について全くイメージが湧かないから
まとめ
民営事業所の障害者雇用は、雇用者数と平均勤続年数が大きく増加しています。民営事業所の従業員の方々のご理解とご尽力によるところが大きいと感じます。しかし、課題も多く見えてきています。
就労移行支援としては、民営事業者として行政機関の足りていない部分をフォローすることで、障害者雇用をされている民営事業所の課題を減らし、障害者雇用を促進していく必要があります。
また、あらたに障害者雇用をされる民営事業所は就労移行支援を活用いただくことで、その事業所にあった柔軟な雇用と定着を進めることができると考えています。
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